asaの足あと

何気ない暮らしと、その中で、日々こぼれ落ちるささやかな幸せと小さな痛みをそっと静かに残すように、このブログをしたためています。

香りに怯える(化学物質過敏症)

一昨日、髪を切りに行った。

たるんで、よどんで、ひどく老けこんでいた顔が、

ぱっと明るくなった。

「こんな感じになりました〜」

と、その日はじめて会った美容師さんが

鏡で後ろ側をみせてくれ、

私は、気に入りました〜、と

笑って頷いてお礼を言う。

ながらく放置し乱雑に束ねつづけていた髪を

プロの方にカットしてもらうだけで、

よどんで老け込んでいた顔がぐんっと若返る。

たるみはともなく、よどみは年のせいじゃなかったんだな

と、自分を見放し過ぎていたことを思い知る。

 

美容師さんは満足そうにうなずき返したあと、

鏡をおいて、手にあれをとる。

あれ、洗い流さないトリートメント的なもの。

 

あっ、と一瞬躊躇したのち、

いやいや、と思いなおす。

せっかくだから最後までとことんきれいにしてもらおう。

マスクの下で、ぐっと息をのむ。

 

そうして、来たときよりも幾倍も若返り、

美容室をあとにして、家路をたどった。

雨の中、意識的に息を吐く。

 

美容室の帰りの足取りが

はずむように軽やかだったのは、

いつまでだったっけ。

 

ぼんやりと記憶をたどりながら、

息を吸い、ゆっくり吐く。

 

 

「可愛くなったでしょ」

と、娘に言うと、

「えー、可愛くはない」

と、娘は笑った。

「可愛くなったでしょ」

と、夫に言いに行くと、

すこしの間のあと、あぁうん、と返ってきた。

娘と夫にみせびらかしてから、

私は浴室にかけこみ、

きれいにセットしてもらった髪に

シャワーをがんがん浴びせた。

 

華やかな香りのシャンプーやトリートメントを

がんがんがんがんがん洗い流す。

浴室をでると、娘が

「どう?においとれた?」

ときいてきた。

「まだ残ってるかも。

 舌がしびれて、まだ息が苦しい。横になる」

娘がどうぞどうぞとソファーを指した。

 

「まいったわぁ。こんなんじゃ

 ろくにおしゃれもできやしない」

ソファーに倒れ込んでぼやくと、

「なんで?おしゃれしたらいいやん」

と娘が言った。

 

確かに。

おしゃれはできるよな。。。

選択を誤らなければ、美容室にだって行ける。

 

(私の場合いまのところすべての香りを受け付けないわけではなく、柑橘系なら大丈夫だったりもするから不思議。ただ香りにかかわらず肌に合わなくて肌荒れすることは多いのだけど…)

 

しっかり洗い流したはずなのに、

翌日も舌がしびれつづけていたけど、

鏡をみるとそこにはちゃんと

数日前の幾倍も若返っている自分がいる。

やっぱり髪を切りに行ってよかった

と、笑みがこぼれる。

失敗だったけど、成功だった。

 

 

年々加速していっている様子の

化学物質過敏っぽい症状。

 

なにより苦しいのは、

娘の持ち帰ってくる給食着に

染み付いた柔軟剤の匂い。

娘の給食当番に、私はおびえている。