「ママ、ママ」
と甘えた声でくっついてきていた娘が
何を思ったのか、どう思い立ったのか、
半月ほど前から私のことを
「おかあさん」
とよぶようになった。
はじめは淋しくて、
気がゆるんだすきに
「ママ」と娘の口からふとこぼれるたび
うひゃひゃっ、と喜んでいたのだけど、
そんなふとも
もうほぼなくなってしまった。
娘の8歳の誕生日は出社日で
早くに家をでる必要のあった私は、
ひとり先に朝ごはんをたいらげたあとに
娘を起こした。
寝室からのそのそ移動してきた娘と
小部屋からひょこひょこやってきた夫に
味噌汁をよそってから、
マスクをし、いそいそと玄関にむかった。
「わぁ。ちょっとおとうさんこれみて!
おかあさん!!
おにぎりもったいなくて食べれな〜い♡」
と、娘のでれでれした歓声を背中に受け、
その日の仕事の不安を蹴散らした。
ママからお母さんに変わっても、
甘えた声もくっつき具合も
スキごはんへの喜びっぷりも
なんにも変わってないんだから、
ちっとも淋しがることなどないんだな。
平日を乗り越えて
数日遅れの誕生日パーティー
夫が買ってきてくれたケーキを囲んで。
それにしても
夫はひとり、いつまで自分のことを
パパ
とよびつづけるんだか┐(´д`)┌