不要不急の移動は自粛するように
といわれている地から、
不要不急の移動は自粛するように
とさらにいわれている地へと、
今日移動する。
もはや、この引っ越しは
本当に必要なの?急ぎなの?
と問いかけると、
「行くしかないやろ」
と、夫は不機嫌をあらわにした。
出発の今日は雨空で、
窓を開け放った部屋の中はやけに寒い。
搬入の明日は、さらに冷え込むそうで、
厚手の服を用意しなかったことを悔やむ。
不安ばかりがつきまとう転居だからこそ、
どうにか笑いを絶やさずにいたい。
そこで、
引っ越しの日、不機嫌は禁止!
と昨夜、夫と娘に提案した。
「明日、機嫌悪くなったひとが負けね!
負けた人が3人分の明日の夜ごはんを
おごること!」
せっせと私たちから奪いとったお金を
大事にためては
ちょこちょこ無駄遣いすることに
喜びを感じている娘も、
不機嫌が日常茶飯事の夫も、
この提案に慄きながらも
承諾した。
今のところ、
娘はひたすら笑っているし、
夫も私も、苛立ちはじめるまえに
ぐぐっと切り換えている。
ご機嫌も平常心も、わりと
お金で買えるものなのかもしれないな。