リビングで着替えたあと
めざましテレビを凝視していた娘が、
パタパタとあちこち移動しながら
片付けをしたり出勤準備をととのえる私に
ニヤリと意味深な笑みをうかべ、
「なぁ、もし何回いっても
いうこときかなかったら、たたく?」
ときいてきた。
「あぁ、思わずたたきたくなっちゃうけど、
たたいたらだめだよね」
とこたえ、またパタパタと移動する。
もどってくると、
娘はさらにニヤニヤ笑いながら、
「ねぇ、もし宿題やらなかったら
晩ごはん出さない?」
ときいてきた。
「あぁ、宿題やるまでは晩ごはんなしって、
やり終わるまで出さないかもよ」
とこたえる。
「ずっとやらなかったら?」
とさらにつづける娘に、
「……場合によると、出さないかもよ」
とこたえながら、
今日の晩ごはん用にお箸置きをセットした。
「ヤバいな。ダメって言ってたで」
と、娘がテレビを指差して言う。
「ヤバいね」
と、私は答える。