子どもの頃、よく熱をだしていた私は、
友だちに手をひかれ保健室に行くことが多かった。
「あら、また熱があるのに学校きちゃったの?
こまったわね」
と、保険の先生は苦い顔をして、
母の職場に電話をするのだった。
職場から1時間の道のりを舞い戻ってきた母は、
先生に謝罪してから、
保健室のベッドに横たわる私をのぞきにくる。
昼間に母に会えることが嬉しくて
私は笑みをこぼすのだけど、
母の全身にはりついた疲労と困惑に、
すーっとそれは消えていき、
「ごめんなさい」にすりかわる。
ごめんなさい。
迷惑かけてごめんなさい。
お仕事たいへんなのにごめんなさい。
一生懸命元気なふりしたんだけど、
だいじょうぶだって先生にも言ったんだけど、
また迎えにこさせちゃってごめんなさい。
帰り道、熱があるくせに食欲のあることも多くて、
商店街の端のたこ焼き屋さんで、
母はたこ焼きを買ってくれるだった。
「あら、また早退してきたの?」
と、たこ焼きやさんのおばちゃんに笑われて、
母は明るくおちゃらけながら返事をする。
週末に熱をだし寝込んだ娘、
月曜の朝にはおでこの熱さも落ち着く。
いちおう熱をはかってみると、37.1℃…
微妙。。。
保育園なら迷わず連れて行っていたけど、
まだ慣れない小学1年生、どうしたものか。
仕事わんさかたまってるし、
火曜日にはPTAでまた仕事に穴をあける……
どうしたものか、
と、短い時間に脳内であたふた考える。
とりあえず、いつもと同じように朝ごはんの席に。
いつものおにぎりを
凍ったままのパンに苺ジャムをぬったものに変えると、
「おいしい〜」
と、ぱくつく娘。
登校確定。
今週からスタートの給食、
気分が悪かったら食べなくていいからね、
連絡帳に書いておこっか…
と心配していると、
「だいじょうぶやって言ってるやん」
と娘は、いつもより少し覚束ない声で
ボソリと言う。
・・・
うしろめたい気持ちをはりつかせ、
会社に行くと、
金曜日も学校行事で休んだため
やっぱり雑務はたまっていて、
さらにつぎつぎと降りそそぐ(ように感じてしまう)。
うしろめたさを忘れ、奮闘する。
・・・
夜、すっかり元気になっていた娘は、
はじめての学校給食のおいしさを
それはそれは興奮気味に語る。
3週間つくりつづけた愛情弁当は、
あっというまに給食に惨敗^^
くやしいような、淋しいような、
でも、ものすご〜く心強いような。